登録日:2025年02月28日
従業員の定着にはプラスの上乗せとマイナス解消のバランスが大切
経営者にとって、従業員の定着は今も昔も変わらず大きな悩みの種です。退職の理由は多岐にわたり、遠方への転居や異なる業種・職種への転職は従業員の今後のキャリアプランがあっての決断を尊重すべきである、というのが考え方で一つあります。
一方で、退職理由がはっきりしない、とにかく辞めさせてくださいという場合に、経営者はの頭をよぎるのが「何が不満なんだろう?」という疑問です。
今回のコラムではこの「何が不満なんだろう?」に潜む罠について少し深掘りしていきます。こういった、法令ではない部分についての豊富な知見は社労士業務に携わる方のキャリアアップにつながりますのでぜひ最後までお読みください。
一方で、退職理由がはっきりしない、とにかく辞めさせてくださいという場合に、経営者はの頭をよぎるのが「何が不満なんだろう?」という疑問です。
今回のコラムではこの「何が不満なんだろう?」に潜む罠について少し深掘りしていきます。こういった、法令ではない部分についての豊富な知見は社労士業務に携わる方のキャリアアップにつながりますのでぜひ最後までお読みください。
満足と不満は対ではない
退職の申し出に対し、「何が不満なんだろう?」と考えることは自然なことで何もおかしくありません。しかしながら、使用者と従業員の関係においては、もう一歩踏み込んで分析する必要があります。
なぜなら、「満足を感じることがら」と「不満を感じることがら」は異なり、同じ線上で判断できないからです。つまり、満足しているなら不満はない、満足していないなら不満がある、とは言い切れないということです。
この考え方は前回のコラムでも取り上げたハーズバーグの「動機づけ・衛生理論(二要因理論)」に基づくもので、今回はその内容を簡単に解説します。
なぜなら、「満足を感じることがら」と「不満を感じることがら」は異なり、同じ線上で判断できないからです。つまり、満足しているなら不満はない、満足していないなら不満がある、とは言い切れないということです。
この考え方は前回のコラムでも取り上げたハーズバーグの「動機づけ・衛生理論(二要因理論)」に基づくもので、今回はその内容を簡単に解説します。
シンプルに解説:動機づけ・衛生理論
ここからは動機づけ・衛生理論について、最大限シンプルに解説します。
衛生要因:不満を0に近づける要因
例えば、複数のデータの比較が必要な仕事で、画面の小さなノートパソコンのみ支給されているとします。従業員としては、作業の都度表示するページを切り替える必要があり、ストレスを感じていることが容易に想像できます。
そこで、経営者は一大決心し、画面の大きなノートパソコンに買い換え、さらには外部ディスプレイを1台追加で支給することにしました。経営者としては「これでこれまで以上に熱心に仕事に打ち込んでくれるはずだ!」と思うことでしょう。
さて、実際に従業員の反応はどうでしょう?これまでよりも格段に作業がしやすくなり、従業員のストレスは多かれ少なかれ解消されることが期待できます。作業環境のマイナスが解消されることは確かに従業員にとってはメリットです。
では、このメリットが仕事へのやる気、つまりはモチベーションの向上につながるでしょうか?もちろん、改善直後はこれまでとの差が新鮮で短期的にモチベーションが向上することはあるでしょう。ただ、あくまでマイナス面が解消されただけであり、むしろこれで当然と本人は感じるようになり、客観的に見てもしかるべきです。
このように、「不満を解消する」取り組みには「(長期的に)満足を向上させる」までの効果は期待できません。こういった不満を解消する効果をもたらすものを「衛生要因」と言います。マイナスを打ち消す効果はあっても、プラスを生む効果はないのが衛生要因の特徴です。
そこで、経営者は一大決心し、画面の大きなノートパソコンに買い換え、さらには外部ディスプレイを1台追加で支給することにしました。経営者としては「これでこれまで以上に熱心に仕事に打ち込んでくれるはずだ!」と思うことでしょう。
さて、実際に従業員の反応はどうでしょう?これまでよりも格段に作業がしやすくなり、従業員のストレスは多かれ少なかれ解消されることが期待できます。作業環境のマイナスが解消されることは確かに従業員にとってはメリットです。
では、このメリットが仕事へのやる気、つまりはモチベーションの向上につながるでしょうか?もちろん、改善直後はこれまでとの差が新鮮で短期的にモチベーションが向上することはあるでしょう。ただ、あくまでマイナス面が解消されただけであり、むしろこれで当然と本人は感じるようになり、客観的に見てもしかるべきです。
このように、「不満を解消する」取り組みには「(長期的に)満足を向上させる」までの効果は期待できません。こういった不満を解消する効果をもたらすものを「衛生要因」と言います。マイナスを打ち消す効果はあっても、プラスを生む効果はないのが衛生要因の特徴です。
動機づけ要因:満足度を高める要因
もう一方の動機づけ要因とは何を指すのでしょうか。これは、外から与えられるものではなく、自分の仕事が役に立っている、自分の行いに価値があると感じられることで自身の内から湧き出るものです。
例えば「このデータ集計しておいて」だけでも仕事上の指示としては成立します。
一方で、次のように指示した場合はどうでしょう。
「新商品にはこれまでの商品に寄せられた声をできる限り取り入れたいと思っている。企画部にできるだけ分かりやすく購入者の声をプレゼンするにもこのデータが必要不可欠で、これまでの経験上〇〇さんが集計してくれるものが一番分かりやすくて助かっているから今回もお願いしたい。」
全員がもれなくとは言い切れませんが、少なくとも前者の指示よりも従業員のモチベーション向上が期待できるのは明らかでしょう。
ここで気を付けないといけないのが、「モチベーション向上を徹底すれば、マイナス面も打ち消されるだろう。それならパソコンの買い替えは却下!」としてしまいかねないことです。
ここまでの解説でお分かりかと思いますが、マイナス面が解消されてこそプラスの積み上げが可能です。プラスのみを積み上げてマイナスを放置するのは「やりがい搾取」に他なりません。
例えば「このデータ集計しておいて」だけでも仕事上の指示としては成立します。
一方で、次のように指示した場合はどうでしょう。
「新商品にはこれまでの商品に寄せられた声をできる限り取り入れたいと思っている。企画部にできるだけ分かりやすく購入者の声をプレゼンするにもこのデータが必要不可欠で、これまでの経験上〇〇さんが集計してくれるものが一番分かりやすくて助かっているから今回もお願いしたい。」
全員がもれなくとは言い切れませんが、少なくとも前者の指示よりも従業員のモチベーション向上が期待できるのは明らかでしょう。
ここで気を付けないといけないのが、「モチベーション向上を徹底すれば、マイナス面も打ち消されるだろう。それならパソコンの買い替えは却下!」としてしまいかねないことです。
ここまでの解説でお分かりかと思いますが、マイナス面が解消されてこそプラスの積み上げが可能です。プラスのみを積み上げてマイナスを放置するのは「やりがい搾取」に他なりません。
会社の自己診断から始めてみよう
本当にかいつまんでではありますが、従業員のモチベーションを決める2つの要因について、「動機づけ・衛生理論」の観点から解説しました。
冒頭でお伝えした、「何が不満なんだろう?」に潜む罠とは、マイナスの解消がプラスを積み上げ、従業員の満足度を高めると誤解してしまうことです。今回解説した内容について知らなければ知らず知らずのうちにまんまと上記誤解を繰り返し、どんどん罠にはまっていってしまいます。
本コラムで解説した通り、マイナスの解消のみでは積極的なモチベーション向上は期待できず、かと言っていかに壮大なモチベーション向上に向けた取り組みも、マイナスだらけの職場ではその効果が発揮できません。
プラスの積み上げ・マイナスの解消に明確な基準はなく、会社の数だけその指標があると言えます。そのため、従業員の定着強化に向けた切り口として、自社において両社のバランスがどちらに偏っているか、経営者と二人三脚で自己診断することから提案してみましょう。
冒頭でお伝えした、「何が不満なんだろう?」に潜む罠とは、マイナスの解消がプラスを積み上げ、従業員の満足度を高めると誤解してしまうことです。今回解説した内容について知らなければ知らず知らずのうちにまんまと上記誤解を繰り返し、どんどん罠にはまっていってしまいます。
本コラムで解説した通り、マイナスの解消のみでは積極的なモチベーション向上は期待できず、かと言っていかに壮大なモチベーション向上に向けた取り組みも、マイナスだらけの職場ではその効果が発揮できません。
プラスの積み上げ・マイナスの解消に明確な基準はなく、会社の数だけその指標があると言えます。そのため、従業員の定着強化に向けた切り口として、自社において両社のバランスがどちらに偏っているか、経営者と二人三脚で自己診断することから提案してみましょう。