特集コンテンツ

  1. ホーム > 
  2. 特集コンテンツ > 
  3. CHROとは?その役割・求められるスキル・人事部長との違いについて

登録日:2024年04月10日

CHROとは?その役割・求められるスキル・人事部長との違いについて
近年、人事領域では「CHRO」という役職が注目されており、このポジションでの求人募集が増えてきているのも確かです。CHROは、Chief Human Resource Officerの略称、日本語で言うと「最高人事責任者」ということになりますが、そもそもCHROとは何なのか?その役割や必要とされるスキル、混同されがちな人事部長との違いについて解説します。

CHROとは

CHROは、上記に述べた通り、最高人事責任者と呼ばれ、その名の通り、人事の責任者であるとともに企業経営における人(ヒト)・組織に関する責任者です。つまり、CHROは人事分野の最高責任者を務めるポストであり、人事に関わる様々な業務を行うだけではなく、経営戦略にも関わり、多くが「執行役員人事部長」や「取締役人事部長」の役職で経営幹部の一員として、人事権を一任されています。

CRHOの役割

CHROは、人事全体に関わる役割を持ち、企業を支える人材の育成や獲得、維持などを前線に立って推進していきます。
具体的には、以下のような役割を担います。

1.人事面から経営への参画する
経営者の視点から人材戦略を策定することが求められます。経営戦略に沿った、人材配置の最適化を行う必要があります。また、経営戦略の策定の場に参画する場合も、人的資本などを踏まえた戦略の進言をするなど、積極的に経営に関わります。

2.人事の進捗管理を行う
経営戦略を実現するためには、ヒトの力が不可欠、そのためCHROが中心になって、採用や研修、モチベーション管理などの進捗・状況をチェックし、適宜フォローを行います。
進捗や問題点は経営陣に報告し、今後の方針を検討した後に部署やチームに要点・指示を伝えるのもCHROの仕事、基本的に人事への働きかけが多くなりますが、経営に関わるものとして必要に応じて関係各所に伝達する機会もあります。

3.経営陣として人事や社員教育・育成の責任を担う
経営を支えるヒトは、採用するだけではなく、育成が重要です。人手不足によって採用は難しくなっており、既存の人材をいかに育てられるかはCHROの手腕が試されます。
また、CHROは、企業理念やビジョンに照らし合わせた組織体制の構築や人材育成に努める責任があります。経営戦略を実現するためにはどのような組織体制で臨むべきか、どのような人物要件が求められるかといった組織づくりや、企業の成長につながる人事制度のあり方、適材適所の配属、人材育成の方法など、あらゆる取り組みを行います。さらには、人件費や生産性といった人事に関連するコストの責任も担います。

4.経営陣として人事評価制度を整える
人材の定着や成長には、納得感のある評価制度が必要です。従業員からの不満があったり、ビジネス環境とのギャップが生まれたりした場合には、正しい形に制度を整える必要があります。
評価を行うリーダーへの指導や制度の変更など、課題に合わせた改善をCHROが推進します。制度を運用していく過程で、進捗の管理や軌道修正などもCHROに求められる仕事です。

CHROに求められるスキル(資質・能力)

1.経営に関する知識
CHROは経営陣の一人であるため、経営に関する知識が求められ、経営に必要な知識や視点、スキルなどが不可欠です。
ただ単に、経営に詳しいだけではなく、多角的な情報を持っていること、知識や情報を元に自分の考えを発信できることも必要とされます。経営に関する様々な情報にアンテナを張り、それに対して考えることがCHROの資質に繋がっていきます。

2.人事や労務に関わる専門性
CHROは、最高人事責任者として人事・労務管理の責任を担うため、専門的な知識を有していることが望ましいです。
労働基準法をはじめとした法令は随時改正されるため、最新の情報をキャッチアップすることも重要です。

3.マネジメントスキル
人事部の統括はもとより、経営のサポートも行うため、必然的にマネジメントのスキルや経験が必要になります。
人事の管理に加えて、他部署のリソースや課題などにも気を配り、幅広くマネジメントをできなければいけません。
人事の最高責任者という意識では、視野が狭くなってしまいますので、経営陣として人事を統括するという心構えを持ち、広い視野でマネジメントに関わることが重要です。

4.戦略立案と推進力
CHROは経営陣の一員として、経済や市場の動向、競合他社の状況などを含めた現状を高い視点から捉えた上での、戦略立案能力とそれを推進する能力が求められます。
資質の部分でいうと、中長期を見越した計画を立てるための先見性も重要となってきます。

5.コミュニケーション能力
CHROには、現場と経営陣との橋渡し役となる力も求められます。現場に不満が生じた場合は、経営陣との間で調整役を務めることもあります。そのため、現場の従業員から率直な意見を引き出すコミュニケーション能力が重要です。
経営陣の一員でありながら、従業員の意見を代弁するポジションでもあると強く意識することが大切です。

CHROと人事部長との違い

CHROと混同されやすいのが、人事部長や人事責任者です。一見同じ役職で呼び方が違うだけに思いがちですが、明確な違いがあります。人事部長や人事責任者は、あくまで人事や労務における実務レベルの責任者です。現場の指揮を取り、労務管理や採用、育成、トラブル対応などを行い、それに対する責任を負います。
一方で、CHROは経営レベルで人事に携わる役職です。収益やブランディングなど広い目で人事戦略を提案し、戦略の実行を推進します。経営に関わる点で、CHROは取締役の一人に数えられ、経営会議や取締役会などに参加するのも人事部長との違いです。会社に対してはもちろん、株主や取引先などステークホルダーへの責任も負います。

まとめ

今後は人事部長だけでは解決できない問題も多く出てくることが想定され、CHROを求める企業が多くなると予想されます。現場と経営者との間をつなぎ、経営視点から人事戦略を遂行できるCHROは、ますます重要性が高まると思います。
自社の課題を分析した上で、CHROの導入やそれに向けた人材育成に取り組みましょう。