退職の意思は同僚や部下などに安易に漏らさず、直属の上司に相談しましょう。直属の上司を飛び越えて、更に上役や別部署の上司に伝えることも控えた方が良いです。伝える際には、一方的に退職の意思や退職希望日を伝えるのではなく、まずは相談ベースで話を持ちかけます。話し合いの中だと上司に意思を聞いてもらいやすくなりますし、その場の波風も立ちにくいです。相談してくれたという事実そのものが、お世話になった上司への誠意の表れにもなるからです。まずはメールベース「相談があるのでお時間をいただけませんか」と切り出すと良いでしょう。また考え抜いた末の結論であること、後任者への引き継ぎや配慮を丁寧に行うこと、会社へのネガティブな理由だけではなく、できれば退職後も会社、上司・同僚と付き合いを続けていきたいという思いを伝えることも、円満退職の秘訣です。

綺麗すぎる理由も薄く捉えられてしまいますが、過度な不平不満はNG。本音と建前も必要です。退職理由が「給料面の不満」「忙し過ぎる」「希望の仕事ではない」などのネガティブな内容だったとしても、そのままダイレクトに伝えると円満退職は望めません。仕事内容に不満がある場合は、「もっと多くのことに挑戦してスキルを磨きたい」など前向きな言い方を選ぶとポジティブな理由になり、円満退職が望めます。

ポジティブな理由と合わせて、上司・会社としてはどうしようもない理由は無理な引き止めに合わずに効果的。

・自社では実現できないことを前向きに希望している
・体調不良などやむを得ない理由だと、上司としても経営陣に伝えやすい
・家族、親族が関係するような事情（看護・介護、家業の手伝いなど）
など。

「一身上の都合で」だけで押し通すことや、会社に対する不満を退職理由として伝えることは、引き留めが長引く恐れがあります。また、それまでの人間関係が悪くなり、引き継ぎや退職の調整がスムーズにいかないケースも。できるだけ明確かつ前向きな言葉で伝えるように心がけましょう。また、本音は伝えにくいからと、実際とは異なる理由を伝える人もいますが、同僚や後輩にもウソをつくことになりますし、特に近い業界であれば思わぬところから発覚することもあり、おすすめはしません。誰しも退職に至るまでには複数の理由が関わっているはずですから、その中からいちばん伝えやすく、受け入れてもらいやすい理由を選ぶのが無難です。

退職申出の際に上司から「転職先は決まっているのか」と質問を受けるケースもありますが、転職先の社名は言わない方が無難です。同業、近しい業界への転職が決まっている場合には特に引き止められる可能性がありますし、実は転職先の上司と現職の上司が知り合いだった、という事で水面下で連絡がなされるケースもゼロではありません。
「まだ決まっておらずこれから探します」「知人の紹介で数社話を聞いております」などと現在進行形であるなど少し濁して回答をしたほうが、円満退職に繋がりやすいでしょう。もし転職先が決まっており、入社日も確定している場合には、引継ぎ準備が必要となりますので、具体的な社名は伝えず、「●●業界の営業職に内定しています」とやんわりと回答し、退職日の調整を行います。

そもそもなぜ引き止められるのかを考えてみます。会社が社員を雇うためには、様々なコスト・時間がかかります。入社して２～３年目後にようやく採用・育成コスト回収という想いもありますので、せっかく採用して一人前になった社員が退職してしまうと、今までのコストが無駄になってしまいます。更に人員補充のためにさらに採用コストがかかります。企業によっては部下の退職が上司の評価に紐づく事もあったりと、多くは会社・上司の都合です。そのため、上司に辞めたいと伝えると、退職理由を聞かれたり、引き止められたりする場合があります。自分のキャリアを作っていくのは自分自身しかいませんので、退職を決めたのであればしっかりと意思を固めて臨みましょう。

これまでのポイントを踏まえて引き止められない退職理由を上手く作るのも有効ですが、転職先が決まった段階で上司へ退職の意思を伝えると、やむを得ないという気持ちから、比較的スムーズに退職しやすいです。転職先が決まっていれば、入社日に合わせて退職日を決められる場合が多いので、退職日を引き伸ばされてしまう可能性も少なくなります。転職先が決まり上司に「辞めたい」と伝える段階になると、どのように伝えたらいいのか悩んだり、引き止められてトラブルになったりしてしまう可能性もあります。

弊社では内定から退職する際に現職の会社へ伝える退職理由や、引き止められてしまった場合の対応までサポートしております。退職申出の仕方、退職理由の伝え方などに悩んでいる方は、是非ご相談ください。