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登録日:2024年09月10日

2024年度最低賃金・全国加重平均額は1,055円に!改定時に社労士がするべきことは?
厚生労働省より2024年度の最低賃金が発表され、今年度も大幅に引き上げられることとなりました。

本記事では2024年度最低賃金の概要と、最低賃金の改定が発表された際に社労士が意識するべきことと、よくある質問についてまとめました。

2024年度最低賃金の概要

2024年の最低賃金は各都道府県で50円~84円引き上げられ、全国加重平均額は1,055円となりました。引き上げ額が最も高かったのは徳島県の84円で、初めてすべての都道府県で900円を超える結果となっています。

改定後の最低賃金額1位は東京都の1,163円、2位は神奈川県の1,162円、3位は大阪府の1,114円です。また、改定後に最低賃金が1,000円を超える都道府県は上記の3都県をはじめとする16都道府県です。

最低賃金の改定時に社労士が意識するべきこと

従業員の給与額が最低賃金未満になっていないか
顧問先企業から相談があった場合はもちろん、給与計算を請け負っていて全従業員の給与額を把握している企業については率先して確認するのが良いでしょう。

給与額が最低賃金を満たしているかどうかは下記の方法で確認することができます。
◾︎時給制の場合
時給制の場合は一番シンプルで、時給が最低賃金を上回っているかどうかを確認します。

◾︎日給制の場合
日給÷1日の所定労働時間が最低賃金を上回っているかどうかを確認します。

例)日給10,000円、1日の所定労働時間が8時間の場合 8,000÷8=1,250
1,250≧最低賃金であれば最低賃金以上の給与が支給できているということになります。

◾︎月給制の場合
(月給−最低賃金の計算に含まれない手当)÷月の所定労働時間が最低賃金を上回っているかどうかを確認します。

毎月決まって支給している場合でも、以下のような手当は最低賃金の計算に含まれませんので注意が必要です。
通勤手当、家族手当、精皆勤手当、時間外・休日・深夜割増手当、固定残業手当、結婚手当等の臨時に支払われる賃金、賞与

例)基本160,000円、固定残業手当40,000円、通勤手当15,000円で月所定労働時間が160時間という場合、最低賃金の計算に含まれるのは基本給の160,000円のみです。

160,000÷160=1,000
1,000≧最低賃金であれば最低賃金以上の給与が支給できているということになります。

固定残業代が支給されている月給制の従業員については、最低賃金に合わせた給与改定をした際には残業単価が変わるため、固定残業代も合わせて改定が必要です。
求人票に記載している給与額が最低賃金未満になっていないか
実際に支給している給与額と合わせて、求人票に記載している給与額についても最低賃金未満になっていないか確認が必要です。

特にハローワークでは給与額の確認が厳しく、掲載されているはずの求人が非公開にされている可能性も。

顧問先企業の求人掲載を代行している場合には、すでに掲載している求人票に記載している給与も忘れずに確認しておきましょう。

最低賃金について社労士がよく聞かれる質問

支店が複数ある場合はどの都道府県の最低賃金が適用される?
支店がある場合は、支店ごとの所在地の都道府県の最低賃金が適されます。

本社が東京にあり大阪にも支店があるという場合には、東京本社に勤務する従業員に適用される最低賃金は1,163円、大阪市店に勤務する従業員に適用される最低賃金は1,114円です。
テレワークの場合は会社か自宅、どちらの都道府県の最低賃金が適用される?
テレワークの場合は実際にテレワークを行う場所に関わらず、テレワークを行う労働者の属する事業場がある都道府県の最低賃金が適用されます。
派遣の場合は派遣元・派遣先どちらの最低賃金が適用される?
派遣労働者については、実際に勤務する派遣先の都道府県の最低賃金が適用されます。
高校生アルバイトや試用期間中の従業員にも最低賃金は適用される?
年齢や雇用形態にかかわらず最低賃金は適用されます。高校生アルバイトや試用期間中だからと言って最低賃金未満の給与で雇用することは認められません。
最低賃金をちょうど満たす金額に昇給したい
現在も最低賃金に合わせて月給を設定しており、最低賃金の引き上げに合わせて昇給したいという相談を受けることもあります。

月給制の従業員について最低賃金と同額となるように支給したい場合には、「最低賃金額×月の所定労働時間」で算出することができます。
例)
・東京都の最低賃金1,163円が適用される
・月の所定労働時間160時間
という条件の場合、1163円×160時間=186,080円
186,080円が最低賃金をちょうど満たす給与額になります。
また186,080円には、最低賃金の計算に含まない固定残業手当等を含むことはできません。

まとめ

今年も前年に続き最低賃金の引き上げ額が大きく、ついにすべての都道府県で900円を超える結果となりました。

企業への影響も大きく、社労士には相談が寄せられる時期です。支店がある場合やテレワークの場合の扱いや、最低賃金に含むことができない手当など、迷いがちな部分についてこの機会におさらいしておきましょう。