登録日:2025年01月20日
法定休日・法定外休日の違い、即答できますか?
社労士試験を受験経験がある方、今まさに勉強中、もしくは実務に携わっている方なら「休日」と聞いて、法定休日は35%増し、法定外休日は法定時間外割増と同様25%増しということはすぐピンとくることと思います。割増率についてはこの通りですが、実は法定休日・法定外休日を区別して取り扱うべき場面のひとつとして36協定があります。36協定における法定休日、法定外休日の取り扱いの違いは?と急に聞かれると、意外と即答できない方が多いかもしれません。社労士業界においてキャリアアップや給与アップを目指す場合には、当然ながら休日の取り扱いについて深く理解しておく必要があります。
休日労働は違法?
そもそもの話になりますが、労働基準法第35条において、「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。」と定められています。その一方で、同法第37条において、「休日に労働させた場合においては政令で定める率以上の率(35%)で計算した割増賃金を支払わなければならない。」とあります。
ここで、素朴な疑問が生まれます。休日を与えないといけないと言いつつ、休日に労働させた場合は割増賃金の支払いが必要という、一見相反する規定にも見えます。
この矛盾にも近い疑問を解消してくれるのが、通称36協定です。
ここで、素朴な疑問が生まれます。休日を与えないといけないと言いつつ、休日に労働させた場合は割増賃金の支払いが必要という、一見相反する規定にも見えます。
この矛盾にも近い疑問を解消してくれるのが、通称36協定です。
36協定が休日労働を合法化してくれる
ご存じの通り、36協定は労働基準法で原則禁止されている法定時間外を超える時間外労働
及び休日労働の違法性を阻却するための手続き書面です。受験勉強においては一般条項と特別条項、それぞれの上限時間、加えて特別条項については一般条項における上限移管である月45時間を超えることが認められている回数、年間の上限時間、2~6か月を平均した時間外労働の上限など、ある意味機械的に覚えた方が多いのではないでしょうか。ここからは、実務を経験してより理解が増した法定休日・法定外休日の取り扱いの違いについて解説します。
及び休日労働の違法性を阻却するための手続き書面です。受験勉強においては一般条項と特別条項、それぞれの上限時間、加えて特別条項については一般条項における上限移管である月45時間を超えることが認められている回数、年間の上限時間、2~6か月を平均した時間外労働の上限など、ある意味機械的に覚えた方が多いのではないでしょうか。ここからは、実務を経験してより理解が増した法定休日・法定外休日の取り扱いの違いについて解説します。
36協定における休日の取り扱い
実は36協定において、法定休日と法定外休日の取り扱いは一般条項のみか特別条項付きかによって異なります。これだけを聞くと「?」となってしまうかと思いますので、順に解説します。
一般条項のみの36協定
労働時間、休日出勤について一般条項のみの36協定に定める事項は以下の通りです。
①1日、1か月、1年について法定労働時間を超えて労働することができる上限時間
②1か月について休日出勤をさせる上限日数
このように、一般条項のみの36協定においては「時間外労働時間の上限時間」と「休日労働回数の上限回数」を分けて定めます。
ここでまず注意すべき点が②の休日労働です。
社労士業務において「休日」というと、厳密には法定休日・法定外休日に分けられますね。では36協定における休日とはどちらを指すのか、即答できますか?
答えは「法定休日」のみを指します。36協定を締結する段階では法定外休日は時間外労働に含まれる為、休日については法定休日のみとなります。
ここまでの内容を前提に、特別条項付き36協定において異なる点へと解説を進めます。
①1日、1か月、1年について法定労働時間を超えて労働することができる上限時間
②1か月について休日出勤をさせる上限日数
このように、一般条項のみの36協定においては「時間外労働時間の上限時間」と「休日労働回数の上限回数」を分けて定めます。
ここでまず注意すべき点が②の休日労働です。
社労士業務において「休日」というと、厳密には法定休日・法定外休日に分けられますね。では36協定における休日とはどちらを指すのか、即答できますか?
答えは「法定休日」のみを指します。36協定を締結する段階では法定外休日は時間外労働に含まれる為、休日については法定休日のみとなります。
ここまでの内容を前提に、特別条項付き36協定において異なる点へと解説を進めます。
特別条項付き36協定
そもそも特別条項付き36協定とは、本来1か月について45時間、1年について360時間の上限を臨時かつ特別な事情がある場合は超えるかもしれません、という一般条項だけの36協定の特例となります。原則の上限時間を一定条件かで超過することを認めるため、その取扱いは厳しいものになり、ここで一般条項のみか特別条項付きかにより違いが生じます。
具体的には、特別条項付き36協定における上限超過は時間外労働・休日労働を合算して上限時間の設定、結果の判定を行うということです。
先に解説した法定休日・法定時間外を別に定める取り扱いが特別条項付き36協定において区別されず、それどころか法定休日労働時間も含め上限時間を定める理由は「過重労働の防止」、これに尽きます。
繰り返しになりますが、時間外労働の上限は1か月について45時間、1年について360時間というのが大原則です。その上限突破を例外として認める特別条項においては、当然過重労働の防止の観点からの規制がより厳しくなります。
仮に、特別条項付き36協定においても一般条項のみの36協定と同じく時間外労働と休日出勤を分けたとすると、まずは割増率の低くなる通常出勤日もしくは法定外休日に上限時間ギリギリまで時間外労働を命じ、それでも間に合わない場合、上限回数ギリギリまで法定休日に、場合によっては通常の出勤日よりも長時間にわたる労働が命じられるかもしれません。
このように、特別条項付き36協定においては、労働者を過重労働による健康被害から守るため、一般条項のみの36協定より厳しいルールが設けられています。36協定に限らず、こういった背景をイメージするかしないかで知識の定着にぐっと差が出ます。
具体的には、特別条項付き36協定における上限超過は時間外労働・休日労働を合算して上限時間の設定、結果の判定を行うということです。
先に解説した法定休日・法定時間外を別に定める取り扱いが特別条項付き36協定において区別されず、それどころか法定休日労働時間も含め上限時間を定める理由は「過重労働の防止」、これに尽きます。
繰り返しになりますが、時間外労働の上限は1か月について45時間、1年について360時間というのが大原則です。その上限突破を例外として認める特別条項においては、当然過重労働の防止の観点からの規制がより厳しくなります。
仮に、特別条項付き36協定においても一般条項のみの36協定と同じく時間外労働と休日出勤を分けたとすると、まずは割増率の低くなる通常出勤日もしくは法定外休日に上限時間ギリギリまで時間外労働を命じ、それでも間に合わない場合、上限回数ギリギリまで法定休日に、場合によっては通常の出勤日よりも長時間にわたる労働が命じられるかもしれません。
このように、特別条項付き36協定においては、労働者を過重労働による健康被害から守るため、一般条項のみの36協定より厳しいルールが設けられています。36協定に限らず、こういった背景をイメージするかしないかで知識の定着にぐっと差が出ます。
法定休日・法定外休日の違いは割増率だけじゃない
冒頭でお伝えした通り、法定休日・法定外休日の違いというと割増率の違いがまず思い浮かびますが、それだけではなく36協定における両者の違いも見落としてはいけないポイントです。試験勉強のみで実務経験がない段階、もしくは実務に従事しながら知識を積み上げている段階では即答が難しい内容かもしれませんが、長期的なキャリアアップや社労士としての転職を見据えているなら、時にはこういった読み物も含め実務経験に基づくスキルを磨いていくのが地道かつ一番の近道です。今後も引き続き社労士業界の皆様に役立つ情報を発信していきますので、次回も本コラムを楽しみにしていただけると嬉しい限りです。