特集コンテンツ

  1. ホーム > 
  2. 特集コンテンツ > 
  3. 育児休業中の給付金が手取りの10割になる仕組み

登録日:2025年01月30日

育児休業中の給付金が手取りの10割になる仕組み
本年2025(令和7)年4月より育児休業の給付がさらに手厚いものへと変更されます。これにより、報道やネット記事において「育児休業給付金が実質10割」など、育休取得を検討している労働者の注目を集めています。

今回は、育児休業中の給付金が手取りの10割になる仕組みをわかりやすく解説します。社労士業務において、法改正・新制度への対応は自身のキャリアを磨く上で欠かせないものですので、4月の導入に先行して今のうちからポイントをおさえておきましょう。

育児休業給付金の改正ではない

育休中の給付金が手取りの10割と聞くと、「育児休業給付金の支給率が現行の67%スタートからアップするのかな?」とイメージされる方は少なくないでしょう。このイメージも完全に間違いではないのですが、厳密には育児休業給付金の支給率はそのままで、新たに創設される「生後休業支援給付金」とあわせて手取りの10割を実現することとなっています。

社労士業務に携わる者として、お客様へは分かりやすくイメージしやすい案内が大切ではありますが、自身の理解はイメージにとどまるわけにはいきません。手取り10割が実現する仕組みをしっかりと理解しておきましょう。

出生後休業支援給付金のポイント

育休中の手取り10割の立役者となる出生後休業支援給付金のポイントは2つ、「支給要件」と「支給額」です。
出生後休業支援給付金の支給要件
出生後休業支援給付金を受給するには、次の①に加えて、②のうちいずれかの要件を満たす必要があります。

① 被保険者が、対象期間※に、同一の子について、出生時育児休業(=産後パパ育休)給付金が支給される産後パパ育休または育児休業給付金が支給される育児休業を通算して14日以上取得したこと。

※対象期間
• 被保険者が産後休業をしていない場合(被保険者が父親または子が養子の場合=本記事では「父親」とする)は、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から 「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日 」までの期間 。
• 被保険者が産後休業をした場合(被保険者が母親、かつ、子が養子でない場合=本記事では「出産した母親」とする)は、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から 「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して16週間を経過する日の翌日 」までの期間。
引用・加工:2025年4月から「出生後休業支援給付金を創設します」|厚生労働省
これは文字通り、産後パパ育休期間を含めて14日以上の育児休業を取得しているということです。

また、対象期間が異なるのは、出産した母親の場合、産後8週間の産後休業から引き続く育児休業の初めの8週間を指しているためです。育児休業の対象となる期間のうち初めの8週間という点では父親、出産した母親ともに要件は同じです。

②その1  被保険者の配偶者が、「子の出生日または出産予定日のうち早い日 」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間に通算して14日以上の育児休業を取得したこと。

または

②その2 子の出生日の翌日において 「配偶者の育児休業を要件としない場合※ 」に該当していること。

※配偶者の育児休業を要件としない場合
配偶者がいない、配偶者が無業者もしくは自営業者やフリーランスなど雇用される労働者でない、など
引用・加工:2025年4月から「出生後休業支援給付金を創設します」|厚生労働省
「被保険者の配偶者」は父親、出産した母親それぞれから見た配偶者を指し、対象期間中に夫婦が共に育児休業を取得しているということです。

つまり、出産した母親が産後休業から引き続き育児休業を取得することを前提として、父親が産後パパ育休を含めて14日以上、出産した母親が産業休業後引き続き14日以上の育児休業を取得している場合に要件を満たすこととなります。
出生後休業支援給付金の支給額
出生後休業支援給付金として支給される額は、休業開始時賃金日額×休業期間の日数(上限28日)です。

男性の場合、産後パパ育休を取得する場合の上限日数と一致しています。このことから、男性に極力長い産後パパ育休を取得するよう促すための制度であることが読み取れます。

法改正・新制度は社労士のキャリアアップのチャンス

ここまでの内容から、出生後休業支援給付金が受給できる場合、従来の育児休業給付金とあわせて休業開始時賃金日額の80%を受給できることとなります。

ここで、休業開始時賃金日額の80%が手取りの10割に相当する理由をすぐに説明できますか?

健康保険(協会けんぽの場合)・厚生年金保険の保険料率は都道府県ごとに若干異なるものの、あわせて標準報酬月額の約15%です。加えて雇用保険料、所得税(扶養人数により異なる)が差し引かれ、給与の手取り額は額面の約80%と言われており、その休業開始時賃金日額の80%を支給することで、休業開始前の手取り額とほぼ変わらない額の給付を実現するものです。なお、住民税は特別徴収の場合であっても保険料、住宅ローン控除などにより必ずしも収入に比例するものでないためこの計算においては考慮しない点に注意が必要です。

このように、社会保険料率の目安や手取り額の計算方法について即答できないと、時にはお客様からの信頼を失ってしまうかもしれません。難しい法律の解釈ばかりが社労士業務ではありません。こういった、経営者・担当者が気になる点に即答するためのひきだしを増やし、社労士業務に携わる者としてのキャリアが積み重なり、給与アップや転職などさらなるキャリアアップにつなげていくことを意識して、日々の業務に臨んでいきましょう。